コラム「生まれてきてくれてありがとう」         ―― 言葉に込めた自己肯定感―― 

支援員 佐藤美紀

息子が小さい頃、 つい「早く」「ダメだよ」と叱りすぎてしまう日もありました。
寝顔を見ながら「今日も怒っちゃったな」と反省する毎日。


 そんなとき、育児書で“子どもは眠る前の言葉を心に残しやすい”と読んで、
寝る前だけは「生まれてきてくれてありがとう」「ママとパパの宝物だよ」と伝えるようにしました。


続けていくうちに、息子が安心したような表情で眠るようになり、私自身も“この子がいてくれるだけでいい”と心から思えるようになりました。
今では娘にも毎晩、同じ言葉を伝えています。


完璧な母ではないけれど、「あなたがここにいてくれることがうれしい」と伝えることが、
私なりの自己肯定感を育てる方法になっています。
ある日うっかり言い忘れた夜、子どもが「ママ、あれ生まれてきてくれてってやつ言って」と笑いながら言ったのです。


その瞬間、言葉がちゃんと心に届いていたんだと感じました。
子どもは親の言葉から「自分は大切にされている」と知るのだと思います。
ついイライラしてしまう日もありますが、最後に「生まれてきてくれてありがとう」 と伝えると、私の心も不思議と穏やかになります。


毎日の小さな言葉の積み重ねが、子どもの自己肯定感を育てる。
それを信じて、これからも伝え続けていきたいと思います。